先週、オリンパスの粉飾決算事件で野村證券時代の先輩である横尾宣政さんが身柄を拘束されたという報道があり、私のところへ十数社のマスコミから一斉に取材の問合せがきた。残念ながら1ヵ月以上前から私のスケジュールは一杯であり、当日も会社にはおらず、客先を訪問していた。
私の知っている横尾さんは正義感が人一倍強く、部下を守り、そして野村證券の進むべき道を常に語っていた立派な人物だ。13年前に野村をリタイアしてから一度も横尾さんにお会いをしていないが、横尾さんは子煩悩だったので、現在の状況を苦しんでいるのではないだろうか。
こうした状況に至った詳細を私は良く知らないが、今、横尾さんに伝えたいとしたら、京セラの稲盛和夫さんの書かれた「六つの精神」の中の言葉を贈りたい。
『たとえば、何かスキャンダルに巻き込まれ、道徳的にも法律的にも追及され、本人はもとより親兄弟、周囲の人たちにまで、大変な迷惑をかけるというような大失敗をしても、なぜそういう事になったのか十分に反省し、今後一切そういう事はすまい、今後は心を入れ替えて努力していこうと心に誓うことでいいのです。
不名誉なスキャンダルに襲われ、身も心もズタズタになるくらいに心を悩ませ、あげくの果てには自殺をしてしまう人がいますが、いつまでもクヨクヨと失敗に心を悩ませ、心を暗くしていくことはやめたほうが良いのです。
そのような不祥事を招いたのは、過去の自分自身が犯した罪、つまり業があったからなのです。その業が、今、結果として非難という形となって出てきているわけです。
十分な反省、また二度とそういう不祥事は起こさないという決意はしなければなりませんが、いつまでもクヨクヨと心配する必要はありません。身も心もズタズタになるぐらいにうち萎れている自分を逆に励まし、立ち直っていけるようにしていくことが大切です。
どんな不名誉なことがあっても、勇気をもって真正面から受け止め、立ち直っていかなければなりません。大変な不祥事を起こし、自分の家族、親族、友人、さらには会社や世間に対して顔向け出来ないような事態が起ころうとも、いつまでもクヨクヨと悩まず、反省したら、勇気を奮い起こして新しいことに打ち込むことが大切です。』
この話は京セラの稲盛さんが二十数年前に厚生省の許可を受けずに、ファインセラミック製の人工膝関節を販売したというスキャンダルについて、マスコミにたたかれた時に、ご老師の言葉に救われたという一節に出てくる話だ。
野村證券時代は誰よりも男気のあった横尾さんだった。私は部下の不祥事も、支店の抱える問題も、野村の経営上の問題も全て抱えて対応してきた横尾さんの男の背中を見てきた。今回の問題は、きっと男として墓場まで持って行こうと覚悟を決めていたのだと思う。
横尾さん、まだ墓場に行くには早い。
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